いつかの記憶

何気ない出来事や気に入ったものなどについて適当に。現在就職活動中

映画 I Girasoli(ひまわり) ネタバレ

こんばんは。

今日は、古い映画を観る機会がありました。それは、I Girasoliという映画です。何と読むのかは知りません。日本語版のタイトルは、ひまわりでした。

この映画は、とある夫婦の愛が戦争によって引き裂かれてしまうというものです。

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戦争が終わり、夫の消息は不明であると妻が告げられるところからはじまります。そこから回想に入るのですが、夫婦がいちゃついているシーンがほとんどです。

 

しかし、夫が戦争に行きたくないがために精神病を装ったことがバレて、戦争の前線である極寒の地(ロシア)に送られてしまってからは雰囲気がガラリと変わります。

 

先述した通り夫は行方不明になりますが、妻は夫を諦めておらず、単身ロシアまで探しに行きます。たった一枚の写真を手掛かりに聞き込みをして、やっとの思いで夫を見つけ出しました。しかしようやく見つけた夫は記憶を無くしており、現地で救助してくれた女性と家庭を築いていました。

 

ショックのあまり妻は電車に飛び乗り本国へ帰ってしまい、しばらく夫は放心状態。後に今度は夫のほうが妻に会いに行くのですが、妻には別の家庭ができていたのです。二人は未だにお互いを愛し合っていましたが、お互いに独り身ではありません。結局、この後二人は永遠の別れてしまうというところでこの映画は終わります。

 

はっきり言ってこの映画はとても胸糞が悪かったです。誰一人報われません。

妻と夫はもちろん、彼女たちの新しい家族も可哀想でした。妻の「愛が無くても生きられるのね」という発言や、それに対する夫の「ああ、そうだな」という返事から察するに、新しい家族への想いは、真の愛ではないのでしょう。

 

特に夫のほうの新しい妻は、真剣に夫を愛しているように見えただけにやりきれません。夫が元の妻に会いに行くときに、母の病気を口実に飛行機?の席を取ろうとするのですが、二人分の席を確保するのは厳しいといわれてしまうシーンがあります。そこで夫は、一人で行くというのですが、その時の新しい妻の表情がとても辛そうだったのがとても印象に残っています。

 

夫が元妻に会いに行くことを新しい妻に話していたのかどうかは知りませんが、もし話していなかったのだとしても、新しい妻はこの時点で察していたのでしょう。この時の彼女の胸中は壮絶であったに違いありません。

 

このような悲劇を生んだ諸悪の根源は、戦争であるのでしょう。戦争がなければそもそもこんなことにはならなかったはずです。しかし、私には人の心の弱さにも原因があるのではないかと思えてしまいます。これは憶測ですが、妻は夫を失った寂しさを紛らわせようとしていたのではないでしょうか。夫のほうも、そもそも記憶を失ったとはいえ妻のことは覚えていたように見えました。戦争で死を間近に感じたことで、自分を救助してくれた女性にぬくもりを見出してしまったのではないでしょうか。

 

最終的に別れるという人道的に正しいと思われる選択をしたとはいえ、その過程で夫は新しい家族をないがしろにして元妻に駆け落ちしようという旨の発言をします。結局は元妻に自分と夫の新しい家庭を蔑ろにはできないと断られていますが。

 

このことから夫は、理性ある人間としてはクズのように見えます。救助された時から妻の記憶があったとするならなおさらそう感じます。

 

しかし、それは私が戦争を知らないからそう思うだけなのかもしれません。この夫にとって、地獄のような極寒の地で凍死しかけていた自分を救い出し、付きっきりで看病をしてくれた新しい妻が眩しく見えなかったはずがありません。それくらいは想像できるのですが、辛さの度合いが分からないのです。それに、もしかすると看病されて回復する過程で新しい妻の記憶が蘇っていったのかもしれません。

夫のクズ度を判定するには妻の記憶が戻ったタイミングがキーであると考えられます。最初から覚えていたのか、回復してからなのか、元妻と再会してからなのか…

 

先ほどから夫側が人間のクズみたいな発言をしていますが、これは偏った視点からの考えです。元妻のほうも、新しい家庭を理由に駆け落ちを断ったとはいえ、本心では元夫と一緒にいたかったはずです。実際に元夫に迫られても抵抗はしていませんでしたし、最後のシーンで元夫の乗る電車を見送るときは、号泣していました。それを考えると、夫は自分に正直であっただけなのでしょう。もっとも、それを表に出すかどうかが、一線なのかもしれませんが…

 

どのみち、彼らの心の奥底でお互いに対する愛は燻り続けるでしょう。

せめて、彼らの新しい家族たちは、錯覚でも良いので幸せを感じて生きてほしいです。

 

最後にこの映画のテーマ曲を貼っておきます。この映画に合ったとても切ない曲です。

広告が流れて台無しになってしまうかもしれませんが、ご了承ください。

それでは…

 


ひまわり テーマ曲  ソフィア・ローレン マルチェロ・マストロヤンニ